« えむえ~すしゅれっだ~ | トップページ | ドーナツ美味いよ »

2007.05.15

「俺は、君のためにこそ死ににいく」を見た

井筒和幸監督がこの映画を「戦争を美化している」と批判したところ、出演している窪塚洋介が「この映画を見て、戦争賛美だという奴はアホ」 と答えたと言うので気になっていた映画。
私もこの映画を戦争賛美映画だと思っていたし、製作総指揮の石原慎太郎は思想的にたぶん一番遠いところにいる人だと思っているのであまり見る気は起きなかった。しかし、一度死に目を見た(と思われる)窪塚洋介がそこまで言うなら見てみなければと思い、こちとら自腹で新しく出来た映画館「ららぽーと横浜TOHOシネマズ」に行ってみた。

映画の冒頭、石原慎太郎の「過酷な時代を生きた、美しい日本人の姿を残しておきたい」と言うメッセージが流れたが、映画に出てくる若者は過酷な時代に翻弄された哀しく切ない日本人だった。とてもじゃないけど「美しい」なんて言葉は似ても似つかない、上滑りな言葉だと思った。
窪塚がいつ「Love&Peace ヨロシク」と劇中で言うかヒヤヒヤしたが、淡々と父や弟、妹に別れを告げ死にに行く若者を演じていてとてもよかった。確かに彼の言うように戦争を賛美する映画ではないと感じた。ただただ国の「爆弾を抱えて敵艦に突っ込め」という命令に、理不尽をそうと思わず(思わないようにして)任務を遂行する19,20の若者を描く映画だった。

特攻作戦立案者の大西瀧治郎海軍中将は、作戦立案後は官舎に独り暮らしをし妻と共に生活しなかったそうだ。「たまには家に帰れば」という部下に「特攻隊員は家庭生活も知らないで死んでいったんだよ。614人もだ。俺と握手していったのが614人もいるんだよ」と目に涙をためて言ったという。
大西中将は敗戦翌日に介錯や治療を頼まず自刃し、半日苦しんで亡くなった。

ここまで覚悟をもって作戦を立案し部下を率いる事の出来る幹部がいたのに、戦争を始めて戦争に負ける。これが戦争というものなのか。

|

« えむえ~すしゅれっだ~ | トップページ | ドーナツ美味いよ »

コメント

ごつさんが、航空主兵の権化たる大西瀧次郎に想いを馳せているまさにその日、裏番組でまさに現代の航空主兵を具現したモンスターを夢中になって撮っていたのも、何かの因縁でしょうか。

誰だって、殺して殺されるのなど御免被りたいと、個人では思っていながら、母集団が大きくなると、一人一人の願いとは異なる思わぬ方向に進んでしまうのは、人類は、そして日本人は何度か学んでいるはずなんですが、今回もまた同じ轍を踏むんでしょうね。個人が集まって、時代の雰囲気が創られ、その時代の雰囲気に個人が染められて・・・テーゼははどうあれ、「愛する人のために死ねるか?」てなテーマの映画が10年に1本、5年に1本、3年に1本、2年に1本、1年に1本、1年に2本 ・・・

映画の出来は、見ていないのでなんとも批評できませんが、自分から攻めておいて「愛する者を守る」とはどこで論理回路が裏返ったのかな?とは思いますし、しなくてもいい苦労をさせられて理不尽に死地に赴かされるのを「美しい」とか言われてもねえ・・・。まあでも、あまり左寄りになって、映画や文芸作品を食わずに嫌いになるのも視野が狭くなりますので、見て楽しんで考えるのは良いことですよね。

投稿: 青軍 | 2007.05.17 23:41

どんなに美辞麗句を並べても、特攻とは国の命令で「死んでこい」と言うそれだけのものだと思います。それを美しいと言うならば、殉教という名のもとに爆弾を胴体に巻きつけて米軍基地に突っ込んでいく現代の自爆テロも美しいのではと思えてしまいます。

あまり娯楽的なことを言うような映画ではないのかもしれませんが、空戦や海戦シーンもなかなかリアルで見ごたえがありました。
CGの出来は私的に65点ぐらいでしょうか。止まっている戦闘機「隼」はそれなりにリアルなんですが、離陸シーンはちょっと…
やはりアメリカのようにレプリカの機体を飛ばすような会社がないとリアルなシーンはなかなか望めないですね。
F-14とレプリカとはいえ零戦がリアルにドッグファイトする映画を作るアメリカってやっぱすごいなと。戦争に負けるわけだと(違)

投稿: ごつ | 2007.05.19 01:54

戦争を考えるために、小林よしのり著『戦争論』を読んでみてほしい。
ここが考えるスタートだと思う。

投稿: 田中 | 2007.06.12 21:48

小林よしのりも石原慎太郎と同様に思想的に私から遠いところにいる人だと思っているので著書にはあまり興味は無いのですが、この映画と同様食わず嫌いで遠ざけるのももったいないですね。
漫画で戦争を考えることをスタートさせるのもどうかと思いますが、今度読んでみます。

投稿: ごつ | 2007.06.15 13:43

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/53490/15086645

この記事へのトラックバック一覧です: 「俺は、君のためにこそ死ににいく」を見た:

« えむえ~すしゅれっだ~ | トップページ | ドーナツ美味いよ »