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2009.12.04

沖縄の戦跡を巡って

沖縄に行ったら必ず一つは戦跡を回ることにしている。
やはり沖縄と第二次大戦は切り離せないし、忘れてはいけないと考えている。
沖縄の空や海は素晴らしい。抜けるような青空にエメラルド色の海。これは60年前から変わらぬ景色だろう。
が、その空の下、海の上であった歴史は誰が悪いとか誰のせいだとかそんな空虚な言葉を吐くのがむなしくなるほど凄惨だ。

今回行ったのはアブチラガマ
沖縄本島の南部にはガマと呼ばれる天然の洞窟が点在し、戦争中に防空壕として使われていたものが現在戦跡としていくつか現存している。
ひめゆりの塔で有名な沖縄陸軍病院第三外科壕もその一つ。
アブチラガマは南城市玉城字糸数にあり、ガマ(壕内)ほぼすべてが現存し、さらに公開されているという数少ないガマだとか。

ガマのそばにある南部観光総合センターで入場料を払うと、まずヘルメットを渡される。
富士山の鳴沢氷穴や東京の日原鍾乳洞的なものを想像していたのだが、そんな観光地化された人に優しい洞窟ではなかった。
受付の方に「懐中電灯はありますか?」と、おまえ懐中電灯ぐらい当然持ってきてるよな?ぐらいの勢いで聞かれたが当然持っていない。で、棚にずらっと並ぶ懐中電灯を片っ端からカチカチスイッチを入れ、一番活きのいい懐中電灯を貸してくれた。

ヘルメットに懐中電灯。いったいどんな所なんだろうと訝りつつアブチラガマの入り口に向かう。
観光総合センターから歩いて数分のところにあるアブチラガマの入り口に立って驚いた。
絶対に道間違えたと思うくらい心細い穴が空いているだけのガマの入り口。
あたりを見回しても人一人おらず、シーンとした穴のそばにたたずむ。
なんかすごく嫌な雰囲気なのだが、意を決して穴を下りる。いきなり頭を天井にガツンガツンぶつけ、ヘルメットの必要性を痛感。まさに痛感。でもそれくらい狭い穴。

とにかく滑りやすい段差を慎重に降り、ようやく地面に到着。
目の前真っ暗。本当に真っ暗。あわてて懐中電灯をつけるが、借りといてなんだが全く役に立たない。光量しょぼすぎ。
振り返ると、探検物のテレビでよく見るような、はるか頭上に空くわずかな隙間から見える空。非常に心細い。

アブチラガマは沖縄陸軍病院糸数分室として負傷兵などの治療・看護に使われたが、戦闘が激しくなると付近住民も避難してきた。
沖縄地上戦末期に撤退命令が出され、壕内には一般市民と監視兵、そして重症患者が残され、米軍からの攻撃も受け悲惨を地獄絵が展開されたという。
たかだか60数年前に地獄絵が展開された真っ暗な洞窟にちっぽけな懐中電灯一本持って佇む。マジで怖い。

うっすらと白い札のようなものが闇に浮かぶので、懐中電灯を当ててみると「脳傷患者」。
カンベンしてくれ。

当時も照明設備はなく、カンテラやろうそくで明かりを取ったという。
借りといてなんだが、頼りない懐中電灯よりはマシだっただろうが、薄暗くじめっとした湿気がまとわりつく壕内で過ごしたであろう頭に傷を負った兵士を思うと、今私が感じている「恐怖」のなんて薄っぺらいことよ。

すでに方向感覚が麻痺しかけ、真剣に勇気ある撤退を考えつつ、ボーッと照らされる先に浮かび上がる「破傷風患者」の札。逃げちゃダメだ。
洞窟の、わずかにくぼんだ小さなスペースに掲げられたその札を見て愕然とした。
病室でも部屋でも何でもない、単なる「くぼみ」である。
いったい何人の兵士がこのくぼみに身を寄せ合っていたのだろうか。

意を決し、自分の位置を見失いながら先に進む。
「便所」の札を発見するもやはり単なるくぼみ。狭い・暗い・ジメッとしているに加えて臭い、もあったのか…

恐怖感とともに何とも言えないどんよりした気分のまま先に進む。
天井が高くひときわ広い空間に出ると、そこにはガイドさんに連れられた小学生の集団がいた。
ガイドさんの話に耳を傾けるが、イラク戦争の話をしていて戦争当時の壕の話は過ぎているようだった。
私が今感じている重い気持ちはこの小学生たちと共有できているのかな、と思いながら彼らの「この人なんでひとりで壕の中うろうろしているんだろう」という視線を感じつつ団体の横を通り過ぎ、これまた細い階段をよじ登るように上がり地上に出た。

出た先に慰霊碑があり、思わず合掌。
沖縄の戦跡はどこも重いのだがここは強烈だった。合掌しつつしばらく動けなかった。

リゾート地としての地位を確立した沖縄、いまだ米軍基地問題にあえぐ沖縄、そして民間人を巻き込んだ日本国内での最大規模の地上戦があった沖縄。
いろいろな意味も込め、沖縄が気になってしょうがない私である。

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コメント

行ってきましたか!
よくがんばった!!

ほー、今はヘルメットを貸してくれるんですか。私の行った時は懐中電灯のみでしたよ。おかげで頭打ってタンコブできたのを覚えてます。

そうそう、懐中電灯で照らすとぼやーっと「死体安置所」とか。けっこう社会化見学などで、団体さんが訪れるらしいですが、私のときは最初から最後まで野郎4人のみのツアー・・・置いてかないでくれ~とかマジ恐かったっす。1人であの入り口から入っていったとは脱帽です。

ところで写真がないっすよ~?

投稿: みっちー | 2009.12.05 11:00

>みっちーさん
ほんとにね、入ってすぐに後悔したよ。入ったことを。
ちょっと心が折れそうだったけど、まあまじめな話戦争中はもっと怖かったんだろうなぁなんて思いつつ足を進めたよ。

写真は、センターで撮影禁止って言われたんだよねー
ググると写真を載せたサイトやブログが結構ヒットして驚いたんだけど、昔は良かったのかね。
っつってもちょっとシャッター押せないよ~、写っちゃいけないものが写っちゃいそうで・・・(^-^;

投稿: ごつ | 2009.12.06 23:06

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