すっかり友人宅にお世話になってしまったが、今日は鈍行列車で戸塚まで戻らなければならないこともあり、朝早く(といっても8時ぐらい)に近所の福知山線の駅まで送ってもらい、私の長い一日が始まった。
ちなみに金券ショップを片っ端から回って探した青春18きっぷはどこに行っても5枚つづりしか売っていなかったので、大阪駅のみどりの窓口で買ってしまった。金券ショップでは100円しか安くないし、何が起こるかわからない気まま旅だったので現金を残しておきたかったのでカードが使えるみどりの窓口で購入してみた。
福知山線はいまでこそ大阪とベッドタウンを結び、過密ダイヤが原因で大事故を起こしたりした路線だ。しかし80年代半ばまではDD51が客車を牽いていた、腕木式信号機が残るのどかな単線路線だったそうだ。DD51+12系客車が20年前はまだまだ普通に走ってたんですね…
この頃は武庫川の渓流沿いを走るローカル線風情だったが、1986年の電化・複線化に伴い渓流沿いの単線は廃止された。これは京都の保津峡を走る旧山陰本線に経過がとても似ている。保津峡では旧線はトロッコ列車になって観光資源となっているが、こちらは廃線となり一部が遊歩道になっている。
宝塚市で乗降客の最も少ない武田尾駅で降りてみる。ここは旧線と交差する場所で、無人改札を出るとそこがかつての線路を使ったハイキングコースだ。右にしばらく歩くとトンネルが出てくる。中は電線を支えていた碍子が残るなど鉄道トンネルの雰囲気がばっちり残る。
本当はもっと散策したかったが、何しろ今日中に戸塚に戻らなければならないのですぐに駅に戻った。
ホームで待っているとやってきたのは京都行き。こりゃちょうどいい。これで京都まで行って新福菜館で昼ラーメンかな、なんて計画を立ててみた。
で、電車に乗り込みドア上の路線図を見ると、魅惑の駅名が。「奈良」 ふと頭の中に「あなたと奈良、大和路」というフレーズが浮かび、谷村新司の三都物語が流れた。(調べてみると、JR西日本の三都物語キャンペーンは京都大阪神戸で、奈良は入ってないんですね…><)
しかしこれが酷旅の序章だったと気づくのはほんの4時間後である。
とりあえず奈良に行こうと尼崎駅でJR東西線に乗り換えた。来た電車は同志社前駅行き。終点まで行き、奈良まで行く電車が来るまでの40分ほど駅前散策してみた。駅前に天下一品があったので朝ラーメンしようかと思ったらまだ開いてなかった。
やっと来た電車で奈良駅まで行って驚いた。工事中で仮駅舎だからか閑散としていてお土産物屋すら見当たらない。当てにしていた立ち喰いそば屋すら見当たらず、失意のうちに次の目的地を探す。
大阪まで戻るのもどうかと思われたので、ここで次の目的地を和歌山に定め、和歌山朝ラーメン(といってももう昼近いが)を目指すことにする。和歌山からは紀勢本線で名古屋に抜けるルートを考えた。
奈良から和歌山に向かう和歌山線という路線があるのだが、いくら路線検索しても天王寺に戻れと指示するので、大和路線で天王寺に一旦戻り、阪和線で和歌山に向かうことにする。
このあたりでなんとなく「むちゃ?」という思いが頭をよぎってくるが、必死にそれを払いのける。携帯サイトでいくら調べても、和歌山から戸塚に向かう経路は「大阪まで戻れ」と指示してくる。でも、こんな天気のいい日に海沿いを走る気動車なんて最高だろうなという思いが不安を無理矢理払拭していた。
最後の思いを込めて和歌山-新宮-亀山-名古屋-戸塚で検索すると、名古屋でムーンライトに乗れとの指示が。ムーンライトの指定席なんていまさら取れないだろうし、仕事もあるし…、と同時に、Blueforceさんより「その旅は名古屋で終わる」とメール。これで決心はついた。引き返すなら今しかない!と、どこだかわからないが停まった駅で電車を飛び出した。降りてみると「熊取」という駅だった。Blueforceさんからのメールは、私を社会的な死(月曜日会社ばっくれ)の淵から救い出してくれたと言っても過言ではない。本当にありがとうございました。
時計を見ると13時過ぎ。ここからはもはや時間の余裕などない。
大阪駅に戻ったのが13:40ごろ。ここから14:00発の山陽本線新快速に乗るべくお土産と軽食を購入する。ちなみに朝からまだ何も食べてはいない。
首都圏となんら変わらないラッシュのなか米原まで移動し、大垣行きに乗り換える。米原でようやく本日一食目をホームの立ち食いで頂く。透明なつゆが関西圏を実感させる。
大垣で特別快速豊橋行きに乗り換える。豊橋で何か美味しいいかにも「名古屋っぺえ!」的な駅弁を買おうとワクワクするが、駅売店を覗いてみるとそんなものはなく、がっかりしながら幕の内弁当を買う。
豊橋からは浜松行きに乗る。弁当を食べようと思ったら全席ロングシート。ちょっと食べる気が起きなかったのでガマンする。
浜松駅で、もしかしてうなぎ弁当とかあったら買っちゃおう!とウキウキするが、売ってるのはうなぎパイばかり。がっかりしながら静岡行きに乗り込むと、こいつもロングシート。またもやガマンガマンで静岡駅へ。
浜名湖を過ぎるあたりで夕暮れが迫り、静岡駅到着19:51。腹も減ってきたし静岡駅での余裕は15分。何もする気が起きず20:06発の熱海行きに乗り込む。
熱海到着21:18。ようやくJR東日本管内だ。やってきた電車も見慣れたE231系。もうハラペコでお腹と背中がくっつきそうだったのでグリーン車をおごる。ただし、乗り換えに許された時間は4分。Suicaグリーン券の発券機が見当たらず、発車時間も迫っていたのでやむなく車内でグリーン券購入。250円も高いんですね…
ようやくご飯にありつくが、お食事タイムに許された時間もわずか23分。小田原駅で快速アクティーに乗り換えるためだ。
小田原21:50発の快速アクティーで戸塚到着が22:26。
人生は旅であり、旅は人生である。各駅停車(一部快速)の私の旅が終わった。
当初は普通に東海道線を横浜に向かうつもりだったが、ふと見かけた「奈良」の文字が全てを変えてしまった。
京都でラーメン、名古屋で味噌煮込み、浜松でうなぎを食べながらのんびり行こうと思っていたのだが、結局立ち食いうどんに幕の内弁当という散々な結果。
今回大阪からの旅程は事前にネットで調べていたものなのだが、大阪から戸塚まで1分の遅延早着もなく全て時間通りに電車が動いていたのには感動した。さすがJR。
ノープランの旅も面白いのだが、終わったあとはいつも後悔する。今度からは必ず、プランを立てないまでも時刻表ぐらいは持っていくようにしようと心に誓った。
紀勢本線、全線乗ると400キロ近くになるって今知った。乗らなくてよかった…でも乗ってみたかった…